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ベトナムはトランプのアジア政策のサイン2

アメリカとベトナムは2013年に全面的パートナーシップを確立しました。貿易、開発、海上治安活動に関して記述がありますが、具体的な活動には言及していません。ベトナムはホワイトハウスが南シナ海の「中国の軍事要塞」に言及した際、トランプ陣営の過激な発言を支持していました。しかし、このレトリックは陣営が中国に対し、北朝鮮の今後の核実験に対して圧力をかけるように言って以来、すぐに消え去りました。

「しかし、アメリカの決断は、今春初めの「航行の自由作戦(FONOPS)」を独断的に指揮するためではなく、ASEANに対し、アメリカを中国の埋め合わせにはできないとのメッセージを送った。」と、オーストラリアに拠点を置くThayer Consultancyのディレクターであるカーライル・ セイヤー教授は主張します。
曖昧で矛盾の多い国務省アジア政策は、レックス•ティラーソン米国務長官の最近のレトリックが映し出されたものです。東南アジア諸国の首相に対して、先週、領土問題が解決するまでは南シナ海での軍国化と建設は中止しなければならないという旨のメッセージを送りました。
ティラーソン氏のメッセージは中国に対して出されたものでした。中国はここ数年、南シナ海の何千エーカーもの土地を返還するように要求しているからです。そのメッセージは、東南アジアはアメリカにとって、貿易や安全保障協力を含む多くの点で戦略的パートナーとして存在しているということを強調しています。ベトナムはアメリカに、主要な貿易パートナーでい続けてほしいというふりはしません。
貿易正常化から20年余りが経ち、中国の経済と地政学的な成長によって、アメリカとベトナムは今、お互いに距離を縮めています。アメリカのTPP離脱は、ベトナムにとって失望が残っています。ベトナムにとってアメリカが最大の輸出先であることから、アメリカとの二国間自由貿易協定を必要としているのです。
ベトナム人にとって、ベトナムの経済的進歩は不規則です。ホーチミン市単独で、23%が国民生産、24%を輸出が占めています。これは9%の人口比率を超過しています。それでも、ベトナム経済の成功は貧困の劇的な減少に寄与しています。ベトナムの2000億ドルの経済のうち、およそ40%が製造業から成り立っています。製造業は2011年から急激に成長し、大半が海外投資のスマートフォンのような輸出品によるものです。
2017年の実質GDPは、2016年と同様6.2%までは伸びるでしょう。ドンの下落による輸出の好転と、民間最終消費の劇的な伸びが主な要因になります。ベトナム人は製造業で農業の不安定な実績を相殺し、それは特にメコンデルタ下域で明白になります。
市場関係者によると、ハノイには、経済に対する信頼を上げるため、市場に適したいくつかの改革を紹介する計画があります。
楽しみなことに、トランプ陣営は、東南アジアとの関わりの余地があまりない主要取引国との二国間貿易協定締結にフォーカスしていますが、TPPの再締結の可能性についても示唆しています。

ベトナムはトランプのアジア政策のサイン1

トランプ陣営の突然のTPP離脱にも関わらず、ハノイはアメリカにとって経済の戦略的なパートナーであることと、長年のライバルである中国の覇権の影響力を調べる構えであることを、ワシントンに知ってほしいです。
マー・ア・ラゴでのトランプ氏と習氏の会談は、南シナ海の問題を取り上げることができず、スプラトリー島における中国軍の前哨部隊近辺での、アメリカの巡航操作の自由へ向けた話し合いは、太平洋の地平線に沈むかのように失敗しました。これらの地政学的な問題は、多くの戸惑いを残しました。きたるグエン・サン・フック首相のワシントン訪問は、アメリカとの協力強化とパートナーシップを深めるためのハノイの事前措置であり、ワシントンがアジアでの地位を奪うことを阻止するためです。

ベトナムの代表団は、APEC首脳会議に参加するためトランプが11月にベトナムに来ることについての何らかの言及を得ることを熱望しています。その一方で、ハノイの外交学会の人々は、トランプ大統領にとってベトナムは、優先度が低い国であると感じています。トランプ大統領の関心は中国と北朝鮮の核兵器の脅威に向けられているのです。
「彼らはトランプ陣営がTPPから離脱した後、どのように地域経済に関わる計画なのかを知りたいのです。そしてそれは、ベトナムにとって、大変利益のあることかもしれないのです。」とマレー・ハイバート上級顧問兼戦略国際研究所(CSIS)東南アジア課長は強調します。
4月末に出された大統領令では、トランプ氏は選挙戦のメッセージを「アメリカ製を買え、アメリカ人を雇え」に変更しました。自由な貿易がアメリカ人の仕事を奪っていると主張して以来、トランプ氏の愛国心は自由貿易協定を妨害しています。彼の過激な発言は、海外企業がアメリカ人労働者が低賃金で働かせられるのを防ごうとしているのです。
そういった背景から、トランプ氏は、アメリカに仕事と産業を戻すための公平な二国間貿易協定に向けて交渉するつもりでいます。この二国間貿易協定は相手国に落ち度があった場合に、アメリカが30日以内に協定を破棄することができるものです。
たまに、トランプ氏のメッセージは2016年の大統領選のプレイブックとして扱われます。彼の貿易に対する姿勢は、国際貿易協定がアメリカの雇用状況を悪化させているという、多くのアメリカ人の気持ちを反映しています。しかし、多くの消費者は、価格が安価であるということに気づいています。それでもトランプ氏の大統領令はアメリカ製のものを買うように求め、このルールを無視するものは切り捨てるように連邦機関に指示しています。
今、経済界は、トランプ陣営が現実離れしていると考えています。なぜなら、海外で作られた製品の多くは、アメリカでより安く売られています。そしてアメリカの企業も貿易協定の恩恵を受け、何兆ドルも海外で売り上げているのです。
共和党上院議員のジョン•マケインは、アメリカの離脱を「アメリカ経済とアジア太平洋地域における戦略的地位にとって不変な結果をもたらす深刻な間違いである」と評しています。彼はこの決断を、「アメリカの輸出を売り込むこと、貿易の壁の撤廃、新市場の獲得、アメリカの発明とイノベーションの機会の剥奪」であると言いました。
さらに、「中国にとってアメリカ人労働者の賃金を見直す新たな経済的ルールを作り出すきっかけにもなりうる」とも強調しました。
*アメリカのTPP離脱は他国との政治的、経済的空白を生むことになります。その空白は、中国が埋めたいと熱望しているのです。北京は、ワシントンからの明確なアジア太平洋政策がない中でも、機会を伺い、少し時間を無駄にしました。中国共産党の指導者は、グローバル化の取り組みを強化し、自由貿易の長所を擁護してきました。年頭のダボスでの世界経済フォーラムの演説で、習近平国家主席は保護貿易主義を「暗い部屋に自ら鍵をかけている」と例え、中国は地域貿易協定に向けて交渉していく姿勢を示しました。
戦争で鍛えられた国ベトナムは、近隣国を選ぶことはできませんが、友好国を選ぶことは確実にできます。かつて残虐で悲惨な歴史をもたらした執念深い敵だったワシントンとハノイは、南シナ海の争いにおける安全保障の協力を強化していくことで、戦略的な利益をますます共有していきます。